完成後の対策は高コストで根本解決できないことも。グラウンド設計・電源・高速信号・シールド・フィルタの5つの対策手法、EMC試験の流れ、トラブルシューティング手順を実務視点で解説します。
この記事では、EMCとEMIの概念・規制(POINT 01)、EMI発生源の種類とループ面積の概念(POINT 02)、設計段階での5つのEMC対策(POINT 03)、EMC試験の流れと試験項目(POINT 04)、トラブルシューティング4ステップ(POINT 05)を解説します。
EMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)は、電子機器が周囲の電磁環境と両立して正常に動作する能力全体を指します。EMCには2つの側面があります。
EMIは回路内のさまざまな箇所から発生します。放射強度はループ面積 × 電流変化率 × 周波数²に比例するため、ループ面積を最小化することがEMC対策の核心です。
EMC対策は設計段階で行うほどコスト効率が高く、完成後の後付け対策は限界があります。以下の5手法を組み合わせて対策します。
| 試験名 | 種別 | 内容 | 主な規格 |
|---|---|---|---|
| 放射エミッション | エミッション | 機器から空中に放射される電磁波(30MHz〜1GHz以上)を電波暗室で測定 | CISPR 32 / FCC Part 15 |
| 伝導エミッション | エミッション | 電源ラインに伝わる高周波ノイズ(150kHz〜30MHz)をLISNで測定 | CISPR 32 / FCC Part 15 |
| 放射イミュニティ | イミュニティ | 外部からの電磁波を照射し、機器の動作異常がないかを確認 | IEC 61000-4-3 |
| ESD試験 | イミュニティ | 静電気放電(接触放電±2〜8kV・気中放電±2〜15kV)に対する耐性試験 | IEC 61000-4-2 |
| EFT/バーストノイズ | イミュニティ | 電源ラインの瞬間的なノイズバースト(電気的高速過渡現象)に対する耐性 | IEC 61000-4-4 |
| サージ試験 | イミュニティ | 雷サージや大電流スイッチング(1〜4kV/0.5〜2kA)に対する耐性試験 | IEC 61000-4-5 |
| 伝導イミュニティ | イミュニティ | 電源・I/Oラインへの高周波注入(150kHz〜80MHz)に対する耐性 | IEC 61000-4-6 |
EMC試験で不合格になった場合は、以下の4ステップで体系的に対処します。手順を飛ばして思い込みで対策すると、効果のない対策に時間とコストを費やすことになります。
EMC/EMI対策は、設計段階でのグラウンド設計・電源設計・高速信号設計の適切な実施と、必要に応じたシールド・フィルタの追加で大半が達成できます。完成後の後付け対策はコスト効率が悪いため、開発初期からEMCを意識した設計を行い、プリスキャンで問題を早期発見して設計段階で修正することが、効率的な認証取得と製品品質確保の鍵です。バイパスコンデンサの適切な配置とグラウンドプレーンの確保は、ゼロコストで実現できる最も重要な対策です。
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電路計画では、成徳科技(Chengde Technology)のダイレクトパートナーとして、EMC設計に必要な多層PCB・高周波対応基板を含む高品質PCBの安定調達をサポートします。取引成立まで費用はかかりません。