PCB調達ガイド

電子製品の認証取得ガイド:
CE・FCC・PSE・技適

認証なしで販売すれば法的責任・製品回収・輸入禁止のリスクが生じます。主要8認証の要件、取得6ステップ、コスト目安、設計変更・ラベル・偽造マークの注意点を一冊にまとめた実務ガイドです。

CE / FCC / PSE / 技適 / CCC 約8分で読めます コスト目安・取得手順付き

この記事では、主要8認証の全体マップ(POINT 01)、日本のPSE・技適の詳細(POINT 02)、欧州CE・米国FCC・中国CCCの要件(POINT 03)、認証取得の6ステップとコスト目安(POINT 04)、4つの重要注意点(POINT 05)を解説します。

POINT 01

主要8認証の全体マップ

電子製品の販売には、販売国・地域ごとの認証が必要です。認証を取らずに販売すると法的責任を問われ、最悪の場合は製品回収・輸入禁止になります。まずは販売対象国を確定し、必要な認証をすべてリストアップすることが開発計画の第一歩です。

日本
PSE(◇/○)
電気用品安全法

電気用品の製造・輸入・販売に必要。約450品目対象。菱形(特定)と丸形(その他)の2区分。

日本(無線)
技適マーク
技術基準適合証明

Wi-Fi・Bluetooth・LTE等の無線機能を持つ機器に必要。技適なし機器の使用は電波法違反。

米国
FCC
Federal Communications Commission

米国向け電子機器に必要。Part 15でClass A/B区分。無線機器にはFCC ID取得が必要。

欧州(EEA)
CE
Conformité Européenne

EEA向け製品に必須。自己宣言+テクニカルファイル作成・保管が義務。複数指令が適用。

中国
CCC
China Compulsory Certification

中国向け家電・IT・通信機器等約140品目に必須。現地認証機関での試験と工場検査が必要。

韓国
KC
Korea Certification

韓国向け電気機器の安全・EMC認証。電気用品及び生活用品安全管理法に基づく。

台湾
BSMI
Bureau of Standards Metrology and Inspection

台湾市場向けの電気・電子機器認証。経済部標準檢驗局が管轄。

豪州・NZ
RCM
Regulatory Compliance Mark

オーストラリア・ニュージーランドの電気安全・EMC統合認証マーク。旧C-TckとA-Tckが統合。

認証調査は開発着手前に: 認証は開発完了後に考えるものではありません。必要な認証によって設計要件(EMC・安全・電気仕様)が変わります。複数国向け製品では「どの国の認証が最も厳しいか」を基準に設計することでコストを最適化できます。一般的にClass B(FCC)とEMC指令(CE)の要件を同時に満たす設計をベースにすると効率的です。
POINT 02

日本の認証:PSEの2区分と技適の対象

PSE:菱形(◇)と丸形(○)の違い

◇PSE
特定電気用品(菱形PSE)
電気的リスクが特に高い品目が対象。コンセント・電源コード・変圧器・電熱器・充電器(リチウム電池用)など約116品目。

国の登録検査機関(第三者機関)による検査が必要で、製造・輸入事業者だけでなく国が指定する機関の検査書が求められます。手続きが最も厳しい区分です。
第三者検査必要116品目
○PSE
特定電気用品以外の電気用品(丸形PSE)
電気用品のうち特定電気用品以外の品目が対象。パソコン本体・テレビ・エアコン・電子レンジ・電気ドリルなど約338品目。

製造・輸入業者の自主検査で対応可能(技術基準に適合することを自社または登録検査機関で確認)。技術基準への適合を証明する試験記録の作成・保管が必要。
自主検査可338品目
⚠ PSEは「届出」が必要: PSE対象品目は、製造または輸入の開始前に経済産業省への届出が必要です(事業の届出)。届出をせずに販売すると電気用品安全法違反です。また、PSEマークは「製品が対象に該当するか」の確認から始めてください。非対象品目にPSEマークを表示することも違反になります。

技適:日本の無線機能付き機器に必須

技適(技術基準適合証明・工事設計認証)は、電波法および電気通信事業法に基づき、無線機能を持つ機器に必要な認証です。

対象となる主な無線規格は Wi-Fi(2.4GHz / 5GHz / 6GHz) Bluetooth LTE / 5G Zigbee 920MHz帯(LoRa等) RFID DECT など。技適を取得していない無線機器を日本国内で使用すると電波法違反(最大100万円以下の罰金または1年以下の懲役)になります。技適マークと認証番号を製品に表示、または電子的表示(ファームウェアメニュー等)が必要です。

POINT 03

欧州CE・米国FCC・中国CCCの要件

欧州CE:適用指令と自己宣言の義務

CEマークは欧州経済領域(EEA)で製品を販売するための適合表示です。電子機器に適用される主な指令は以下の通りです。

指令・規則番号対象
EMC指令2014/30/EU電磁両立性。ほぼすべての電子機器に適用
LVD(低電圧指令)2014/35/EUAC 50〜1000V・DC 75〜1500Vの電気機器の安全性
RED(無線機器指令)2014/53/EU無線通信機能を持つ機器。LVD・EMC指令を包含
RoHS指令2011/65/EU鉛・水銀・カドミウム等有害物質の使用制限
ErP指令2009/125/ECエネルギー関連製品のエコデザイン要件
UKCA(英国)UK特有EU離脱後の英国向けCEマーク代替。英国市場には別途UKCAが必要
CEマークのテクニカルファイル(技術文書): CEマークは「自己宣言」ですが、適合を証明するテクニカルファイルの作成・保管(10年間)が法律で義務付けられています。テクニカルファイルには、製品説明・設計図・適用した規格リスト・試験報告書・適合宣言書(DoC)等が含まれます。市場監視機関から要求があれば提示義務があります。書類不備はCEマーク無効の原因になります。

米国FCC:Part 15の区分と意図的放射体

FCC Part 15は、意図的・非意図的に電磁波を放出するすべての機器を対象とします。家庭用(Class B)は産業用(Class A)より厳しい放射限度値が設定されています。

Wi-Fi・Bluetooth等の意図的な電波放射機器には、さらに厳しい認証(FCC ID取得)が必要で、外部の認定試験所での試験と連邦当局への登録が必要です。FCC IDはラベルへの明示義務があります。スマートフォン・IoTデバイス・無線LANルーター等はすべてFCC ID対象です。

中国CCC:現地試験と工場検査が必須

CCC(中国強制認証:3C認証とも呼ばれる)は、家電・IT機器・通信機器など約140品目に必須です。CCC認証は中国国内の認証機関(CNCA指定)でしか取得できず、現地での型式試験と工場審査(製造現場の検査)が必要です。取得後も年次フォローアップ検査が義務付けられています。認証番号はラベルへの表示が必要です。中国市場への参入コストが最も大きい認証の一つです。

POINT 04

認証取得の6ステップとコスト目安

認証取得の6ステップ

01
規制調査:販売対象国の必要認証を特定する
製品の販売対象国・地域の規制を調査します。製品カテゴリ・機能(無線通信の有無・定格電圧・用途・対象ユーザー)によって必要な認証が決まります。開発着手前に確定することが原則です。
販売国確定認証リスト作成
02
認証機関の選定
TÜV(SÜD / Rheinland / Nord)・UL・SGS・Intertek等の大手国際認証機関は複数国の認証を一括対応できます。国内機関では電気安全環境研究所(JET)・テュフラインランドジャパン・UL Japan等があります。複数認証をまとめることでコストと期間の削減が可能です。
TÜV / UL / SGSJET(PSE)
03
サンプル準備:最終生産仕様と同等品を用意する
認証試験用のサンプルを最終生産仕様と同等の状態で準備します。試作品(プロトタイプ)では認証取得できません。基板・ファームウェア・筐体・電源等がすべて量産品仕様になった状態が必要です。
量産品仕様複数台準備
04
試験実施:EMC・安全・無線試験等
試験所でEMC試験・電気安全試験・無線試験(FCC ID・技適等)などを実施します。試験項目数と製品の複雑さによって数週間〜数ヶ月かかります。複数認証を同時並行で進めると期間を短縮できます。
EMC試験安全試験無線試験
05
不合格時:原因特定・設計変更・再試験
試験で不合格になった場合、原因を特定して設計変更し再試験を行います。追加費用と時間が発生します。設計段階でのEMC対策(グラウンド設計・バイパスコンデンサ配置等)とプリスキャンの実施が不合格リスクを大幅に低減します。
プリスキャンで予防
06
認証書取得・ラベル表示・テクニカルファイル整備
試験合格後に認証書が発行され、製品本体・パッケージ・マニュアルにCE・FCC・PSE等のマークを規定の方法で表示します。CE認証ではテクニカルファイルと適合宣言書(DoC)の整備・保管(10年間)が必要です。
認証書保管DoC作成ラベル規定確認

認証取得コストの目安

認証コスト目安期間目安備考
CEマーク(EMC + LVD) 30〜100万円 4〜8週間 自己宣言。テクニカルファイル・DoC整備が必要
FCC Part 15(非意図的) 50〜150万円 4〜8週間 Class Aは緩め、Class Bは厳しい放射限度値
FCC ID(意図的放射体) 100〜300万円 8〜16週間 Wi-Fi・Bluetooth等の無線機器に必要
PSE 50〜200万円 4〜12週間 菱形は第三者機関必要。丸形は自主検査可
技適 30〜100万円 4〜8週間 Wi-Fi・Bluetooth・LTE等の無線機能ごとに必要
CCC(中国) 100〜500万円 3〜6ヶ月 現地工場審査あり。年次フォローアップ検査も必要

※ 上記は一般的な目安です。製品の種類・機能・複雑さによって大きく変動します。複数認証を同時取得する場合は試験の共通化でコスト削減が可能です。

POINT 05

認証取得時の4つの重要注意点

注意 01 — 設計変更の影響
認証後の設計変更は再認証リスク
認証取得後に設計変更を行うと、再認証が必要になる場合があります。変更内容によりますが、回路基板の変更・電源部品の変更・筐体の変更・重大なファームウェア変更などは再試験が必要になる可能性が高いです。マイナーな変更でも認証機関への確認が推奨されます。認証コスト増大を防ぐために、認証取得前に設計を可能な限り固めることが最重要です。
注意 02 — 認証の有効期限と維持
一部の認証は更新・監査が継続的に必要
CCCは年次フォローアップ検査が義務で、認証機関による定期的な工場監査があります。技適・FCCは有効期限はありませんが、設計変更時には再届出が必要です。CEマークのテクニカルファイルは製品の流通終了後10年間保管が必要です。維持コスト(年次検査費用・更新費用)を製品の収益計画に含めてください。
注意 03 — ラベルとマニュアルの表示
表示不備でも認証が無効になる
認証を取得しても、製品本体・パッケージ・マニュアルへの正しいマーク表示がなければ認証の効力がありません。各認証ごとにマークのサイズ・位置・フォント・組み合わせ表示のルールが規定されています。特にCEマークの最小高さ(5mm)・FCC IDの表示方法・PSEマークの品目ごとの記載要件は必ず確認してください。
注意 04 — 偽造・類似マークの禁止
未取得マークの表示は法律違反
取得していない認証マークを表示することは各国の法律で厳しく禁止されており、罰金・輸入禁止・製品回収の対象になります。特に注意すべきは「China Export(CE)マーク」と呼ばれる欧州CEマークに外見が似た非公式の表示で、正規のCEマークと混同されることがあります。中国メーカーから仕入れた製品に付いているCEマークが本当に欧州の適合宣言に基づくものかを必ず確認してください。
🚨 認証なし製品の販売リスク: 認証を取得せずに販売した場合のリスクは非常に大きいです。日本(PSE違反):1億円以下の罰金または1年以下の懲役。米国(FCC違反):1日あたり最大20万ドルの罰金。EU(CE違反):製品の市場撤退命令・販売停止・最大数百万ユーロの罰金。中国(CCC違反):輸入差し止め・没収・罰金。認証コストは「保険」として考え、必ず取得してから販売してください。

まとめ

電子製品の認証取得は市場参入の絶対条件です。販売対象国・地域の規制を開発着手前に調査し、認証要件を設計段階から考慮することで、効率的な認証取得と不必要なコスト増大を防ぐことができます。複数国向けに同時取得する場合は大手認証機関への一括依頼で期間・コストを最適化し、認証取得後の設計変更管理・ラベル表示の確認・定期的な認証維持にも注意してください。「後から取れば良い」ではなく、開発計画の中心に認証スケジュールを置くことが成功の鍵です。

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